第5回ムジャンマ 占領下シリア・ゴラン高原のいま

ムジャンマとは

ムジャンマは、アラビア語で「集まる場所」を意味します。シリアのために活動する人が、シリアを思って集まる場所という願いを込めています。「シリア人の一人も置き去りにしない」シリア和平ネットワークが、設立当初から抱える想いを実現するため、2021年から開始した招待制の意見交換会です。


概要

日時:4月15日20時~22時

話題提供者:
山村順子(シリア和平ネットワーク)
カラマ・アブ・サーレフ(アル・マルサド*)
ワエル・タラビエー(アル・マルサド*)

*Arab Human Rights Center in Golan Heights(ゴラン高原のアラブ人権センター、通称Al Marsad/アル・マルサド)イスラエル占領下ゴラン高原で現地のアラブ人のために活動する人権団体。

話題提供

占領下ゴラン高原の基礎的な情報・現状のプレゼンテーションが現地の写真を交えて行われ、その中で現地の写真とともにカラマさんによる解説を挟んだ。写真の一つに、フェンスの先に見える(イスラエルの占領下でない)シリア側の様子を写した写真があったが、カラマさんから、「(SNSも発達していない)昔は、(シリア人の異なる側にいる)親戚同士がフェンスを挟んでメガホンで話していた」との説明があった。距離はたったの500mほどだが、境界を超えて行き来することはできない。

「ラーム湖」という、マジダル・シャムス村とマサアダ村を繋ぐ大きな湖の写真を見ながら、「1967年以降は湖の水を使用する際はイスラエルの水道会社に払わなければならなくなった。もともと農業用に使っていた湖の水だったが、1967年以降は(イスラエル)国家のものとされ、無料で使うことは許されなくなってしまった」という解説もあった。

国際法では「停戦ライン」、イスラエル側からは「国境」と呼ばれる場所で、1973年の第四次中東戦争(10月戦争/ヨム・キプール戦争)以来、シリアを向きながら放置されたままのイスラエル軍の戦車の写真、あちらこちらに見られる地雷の写真もあった(地雷は雪解けとともに移動することもあり、とても危険だそう)。

現在、ゴランにおける、最もホットな注力すべき問題としては、写真にも写りこんでいた「風車建設をめぐる裁判」の件があげられた。イスラエルの資本主義的な民間企業が、占領下シリアの先住民が所有する農地、主にリンゴとさくらんぼ果樹園で風力発電プロジェクトを行い、現地の人たちや生態系に害を与え、現地の先住民のシリア人たちから強い反対を受けているということだった。そのイスラエル企業がシリア人たちの土地も奪っているということで、アル・マルサドが専門的な調査を行い、風車が健康に与える危険性も含めながらその会社を訴えたところ、逆に企業から訴えられ、現在も裁判で闘っている状態とのことだった。こうした話から、イスラエルの占領下でシリアが「近くて遠い」存在になってしまった現実と、パレスチナ人たちと同じように占領というシステム下に組み込まれたゴラン高原の様子が明らかとなった。

また、イスラエルの占領下で、政府に対する姿勢の違いにより、分断統治されている、ガレリア湖のドゥルーズとゴラン高原のドゥルーズの姿も説明された。

話題提供部分の動画は、以下からご覧いただけます。

質疑応答

質問タイムでは、参加者からの質問を受け付け、シリア人ゲストにその場で回答してもらった。その中で、「民主的な国家のみが占領を解除できる」「イスラム教徒、キリスト教徒、クルド人、ユダヤ人、どんな民族・宗教に属していても、『シリア人』として平等である」「シリアにおいて、異なる立場の人たちの文化的な違いを残したい。お互いを受け入れ、文化的な違いを評価して強みにする」「シリアの国名に『アラブ』と入れなくてもよい。国民国家でなくても良いと思う」「2012年から2015年はヨルダンにいるシリア人はみんなシリアに行きたがっていたが、今は経済的理由で帰りたくない人も多い」「シリア内を5-6の連邦政府に分けて統治するのがいいのではないか」という意見がシリア人の間にある事実を共有してくれた。全体を通して、平和と自由、そして平等を願う人々の想いが強く伝わってきた。


アル・マルサドの活動

  • 占領下のゴランで犯された違反を監視し、文書化すること。
  • 国際法下における彼らの権利に関し、先住民であるシリア人コミュニティの間でアウェアネス向上活動を行う。
  • イスラエルの違法な占領に関する国際社会の意識を高める。
  • イスラエルの裁判所および州当局に影響訴訟およびその他の法的介入をもたらす。
  • 各種リンク


今後のムジャンマに向けて

ムジャンマでは、「シリアに関する何か」について、話題提供者が話します。講演会に終始せず、可能な限り参加者の自由な意見交換を設定しています。参加者の方に、自身の活動への具体的なヒントを持ち帰ってほしいと考えているためです。シリアに関する知識の深化・更新、新たな連携関係の構築、アドボカシーの展開。ムジャンマが、それらの「媒介」になればと願っています。

ムジャンマへの招待者は、組織・立場に関わらず、シリアに携わる方です。ムジャンマへの参加をご希望されます方は、シリア和平ネットワーク事務局(futsuki.kouta.22u★st.kyoto-u.ac.jp:★を@に変更してください)まで、ご連絡ください。

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