7月11日ー13日に開催された、国際会議「シリア世界遺産の次世代への継承を目指して-パルミラ 奈良からのメッセージ」にシリア和平ネットワークのメンバーが参加してきました。奈良春日野国際フォーラムを会場とした同国際会議は、「シルクロードが結ぶ友情プロジェクト」実行委員会・奈良県立橿原考古学研究所の主催で、国連開発計画、外務省、文化庁、日本西アジア考古学会の後援となり、各国の専門家らが集まって、危機にひんするシリアの文化遺産の保護や継承に向けて協議、最終日には「奈良メッセージ」を採択しました。
古代パルミラの研究者でISに殺害されたアスアド氏の子息や漫画家のヤマザキマリさんも出席された会議では、パルミラ遺跡発掘に携わってきたシリア、ポーランド、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、日本の学者や専門家が、種々の暴力にさらされているパルミラを始めとするシリアにある人類の文化遺産の過去・現在・未来について議論されました。「すべてのシリアの人々の中にある普遍的な文化・歴史的帰属意識を促進する」との主催者の意図がこの企画には強く込められ、まさしく文化を通じた平和構築の試みです。
最終日に登壇された前田耕作和光大名誉教授は、タリバン政権崩壊後のカブール博物館の入り口に掲げられていた横断幕のメッセージを紹介されました。
「The Culture is still alive. The country will be alive!(文化はまだ生きている。シリアはまだ生きている)」
三日間続いた会議は、シリアの人々と手を携え、その文化遺産を未来に継承していくことで将来のシリアの平和と復興に繋げるよう国際社会に訴える奈良からのメッセージの発表で幕を閉じました。
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